人気ブログランキング | 話題のタグを見る

不入流しみぬき

表題は「いらずりゅう」と読みます。
四国高知県にある不入山(いらずさん)の麓から広まった、今では全国区で有名なあるしみ抜き技術の総称です。

そちらで、長い期間実地修練を積んだ方で尚且つ創始者の師範に認められた者だけが頂戴できる称号として、数少ない「師聖」に認定されている大阪の山田先生の月一回の工場指導日が昨日行われました。

現在、自社のシミ抜き技術は、九州福岡を拠点としシフォングループ代表で、国認可団体の全国クリーニング連合組合の元技術部会会長 桑原先生と今回の山田先生お二人からのご教授いただいてます。

しみ抜きも様々な技術方法がありまして、僕が感じるところだと大きく二つに分けられるような気がします。

①地色を残すことを優先し、しみを取る。取りきれないものは周囲と協調できるよう「ぼかす」
②しみそのものを取り去ることを主眼と置き、場合によっては地色まで飛ばし、後工程で「色掛け」まで施す。

東洋医学と西洋医学みたいな感覚といいましょうか。

どちらが良くてどちらが悪いとも言えませんので、現場ではこの両方の面をカバーできるよう技術研鑽を日々行っています。

現在自社では、シミ抜きを「無料前処理(プレスポッティング)」と「有料しみぬき(洗浄後処理)」「ドクターしみぬき(特殊しみぬき)」の3つにわけています。

クリーニング・・・自社では、いわゆる「洗う」という作業の前に、検品→しみ・汚れ部分に「無料前処理」をしています。かんたんなことのようで、当たり前のように思われる作業かもしれませんが、かなり多くのクリーニング店ではこの作業をスルーしていることが事実あります。

これで落ちないものを「有料しみぬき(洗浄後処理)」と「ドクターしみぬき(特殊しみぬき)」
で行うわけです。
「有料しみぬき(洗浄後処理)」は通常500円~1000円。
20種類ほどの薬品を織り交ぜ、落とす作業となります。

もう一つの「ドクターしみぬき(特殊しみぬき)」
これは、「有料しみぬき(洗浄後処理)」で落とせない難物。または、しみ箇所が極端に多く、ドライと水洗いと漬け置き漂白といったように幾つかの洗う作業も合間に取り入れる作業が入るもの。そして先ほどの特殊な「ぼかし」技術。または「色掛け」技術を使う場合にこのメニューが適用となります。
料金は2000円~5000円超

過去お客様から、500円のワゴンセールで購入されたと伺うトレーナーに、心苦しくも掛かる経費を算出して5000円のお見積もりをさせていただきましたが、承諾をいただいて作業に移ったケースもありました。

しみぬき部門を担当していた自分もはっきり言えますが、実際しみ抜きにかかる作業手間は本当に大変です。しみ抜きメニューを自社から外し、ただ洗って、仕上げて返すだけであった方が工場はスムーズですし、実際利益も出ます。

お客様からすれば、一着数十万円もされる商品に難しいシミをつけてしまわれて、例えばお見積もり3000円が実際付いたとしても高いと感じられないかもしれません。

しかし、先ほどの500円トレーナーに購入金額10倍にあたる5000円の見積もりがついた場合はどうでしょう。
一般的には、買ったほうが安い・・・ということでこの見積もりは破棄されるケースが多いと思われます。

でもその節は、5000円で作業を依頼いただき、ご笑納いただきました。
なんでもその商品は差し色といって限定色だったそうで、お客様お好みの色合いで大変気に入って使用されている商品だったのです。

ですから購入金額は関係ないそうです。
まさに個人の価値観。
Identityがあるものには、プライスレスな想いがそこに存在します。

ですから、我々も一見した商品の予測価値を無視した、実際かかる手間見積もりを遠慮なくつけさせていただいてます。
最終的に、依頼される・されないはお客様がお決めになることと考えます。

月一回指導に来られる山田先生のお話から、今日はシミの話に偏ってしまいましたが、この山田先生と桑原先生のお二人。
シミ抜きだけでなく、仕上げや洗いに機械選定からレイアウト、メンテナンス、計数管理等などオールマイティーになんでも出来るスーパーマンさん達です。

写真は現場作業終了後に担当者が集まって計数管理の話をされているところです。

しみ抜きといったクリーニング工程の中でも特殊な作業であっても、生産ラインを無視した行為はしてはいけないといったお話も時に出ます。

クリーニングは本当に奥深いから飽きません。というお話でした。
不入流しみぬき_f0045167_11582687.jpg

by fleur929 | 2006-02-04 12:04 | クリーニング
<< お客様ホットライン電話 と 社... 3軒の直営店チェック >>